このレビューはネタバレを含みます
個人的に今作は宮崎駿版の不思議の国のアリスだと思いました。唐突で少し荒唐無稽な話の展開、不気味なキャラクター等類似点が多かったと思います。
生と死、トラウマの克服、親子の関係、少年の成長等々、本来描こうとするならば非常にシリアスな物語になるであろう要素を観やすくする技術は流石だと思いました。幻想世界は恐らく何かのメタファー的なキャラクター、舞台の連続で一度観ただけでは、それぞれが何を表しているのか解りずらい作りになっていますが、鑑賞後ゆっくり考えるのも余韻に浸れて楽しかったです。実に疲れますが、
アニメーション、特に冒頭の火災のシーンは素晴らしいの一言です。ジブリ特有のドタドタ走るキャラクター、炎の熱気を感じさせる作画、このシーンを見れただけでも僕は満足です。
今作ではいろんな生き物が気色悪いぐらい集団で動くシーンが多い印象が多く、魚や、カエルがワラワラと蠢くシーンの悪夢的表現は、僕が大好きな作品、今敏監督のパプリカのようでした。
そしてなにより素晴らしかったのは、青鷺です。物語の序盤窓の外から主人公を覗き見してるシーンで、歯をむき出しにして
怪しげに微笑むところ。ここで僕の心は完全に掴まれました。青鷺のシーンは全部好きでした。声を担当した菅田将暉さん、あんな声で演技できるのかと、ほんとに驚きました。
まだまだ語りたいことはありますが、暑いのでやめます。