ちか

君たちはどう生きるかのちかのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
1.0

このレビューはネタバレを含みます

「君たちはどう生きるか」は学生時代に読み、何度も線を引いて読み返した作品。それを宮崎駿が監督すると聞き、かなりの期待値だった。
みんなの感想が賛否両論で真っ二つなことにかなり驚いた。絶賛している人もいるので、自分の感性を多少疑ってしまうが、、。

悪夢のようで宮崎駿が監督したとは思いたくない、、というのが私の感想。

細部にあれだけ拘っていた監督の美意識はどこに行ってしまったのか?
魂のないキャラクターたちの全く感情移入できない行動の数々にいろんな意味で裏切られたという怒りや悲しさ襲われた、、。

主人公が心を閉ざしている設定なのはよかった。序盤の行動も理解できるのだが、その彼が、なぜ急に夏子さんを助けようと思ったのか。(最初は母が生きているという言葉を信じただけなのか❓)話の中盤から「お母さん」と呼び始めているが、そのきっかけとなった心の機微が全く描かれておらず、(書かれていたのかもしれないが、分からなかった)違和感しかない。感情の機微の描写しなさすぎるのに、ついてきたおばあちゃん「ほんとは夏子さんが帰ってこなくてもいいと思ってるのに、、」と唐突に重要なことを台詞だけで説明。また、実の母を火災で亡くし、救えなかったトラウマはどこで消えたのか❓物語の主軸となるテーマが描かれないまま、いつのまにかファンタジー世界の中で解決され、終わった。
父への葛藤は❓それも曖昧。
こんなに重要なテーマが描かれていないのに、「君たちはどう生きるか」とタイトルだけで投げかけられても困る。
青鷺が当初主人公を煽る様子は良かったが、なぜか母の幻覚を見せるという残酷な行動をした後、いつのまにか「友達」になって主人公を助けている。浅い関係である。

夏子さんは最初胎動があって5ヶ月くらいにはなってるのになんで後からつわりがくるのか❓お腹は目立ってないから妊娠後期のつわりにも見えないし、、。いちいち雑。産屋で描かれる心の闇なんなのか❓もうちょっと丁寧に描いてくれないとわからないよ。
ファンタジーの世界のいろんなキャラクターも、今までの宮崎アニメと比べると独創性に乏しく、わらわらは可愛いけど絵が適当すぎて萎えてしまった。家の中のインテリアも、ファンタジーっぽく適当に描いた感じで、キャラクターのストーリーが全く浮かび上がってこない、、。
良かったところは、、
おばあちゃんはこんなに書き分けできるんだっていう驚きはあった。
かなり期待していた分、こんな感想しか浮かばなかったことがかなしい、、。古い宮崎アニメを見なおしたくなった。
ちか

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