もも

君たちはどう生きるかのもものネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

自分はジブリも監督作品も全部見てるけど、語れるほどではないので思ったことだけ…。

走る人物の疾走感や涙の表現、自然や生き物の描写の美しさには鬼気迫るものがあり、それがもうほとんど美しさや、生きているものへの執着のようだった
80歳を越えてまだ、ドロドロにあふれる創作への執着よ

完成しない、まだまだ足りない、だけど誰かに継がなきゃいけない、こだわりはある、悪いものはわかる、でもそれが正しいかどうかはわからない…
世界を平和で優しいものにしたくても、それはこの道の先にないし、この問いに正解はない…。

あと鳥を飼っていて鳥が好きなので、青鷺の美しい動きにははっとしたし、時々狭いところに体を捩じ込んだり、人間の姿から鳥に戻る時の飲み込む描写はとっても満足

ペリカンのもちもちかわいらしさも、ボロボロになった鳥の動きも良かった
適当なインコたちもよかった

動物に戻ってもセキセイインコでもオカメインコでもない、微妙なデフォルメの鳥たちがほんとに面白くて可愛くて…。
勝手にやんややんややって食べ散らかすだけの人たちに対する、解像度の低さみたいなものを感じた
でも、親しみと興味はあるんだなあっていう…。

王様は世界の理解者のようで分かってない、仕事を急いで、最終的に世界をめちゃくちゃにしてしまう人のような描かれ方で面白かったです

作る人には、作る人だけの地獄があり、苦しみもがいて作った空想は、究極言えば現実では何の役にも立たず、主人公たちも観る人たちもいつか忘れてしまうかもしれないけど、持ち帰れる宝物のような煌めきはあるんだよというメッセージがとても美しかった

主人公たちも大冒険から、呆気ないくらいぱっと日常に戻っていく描写で終わるのだけど
映画館がパッと明るくなったときに、みんな第一声、「わけわからん……」とあちこちで聞こえてきて、でも次に出る言葉はあれが可愛い、これも可愛い、こんなの描けるんだ、これが面白かった、みたいな

キラキラのかけらを持って帰った君たちは、これからの日常をどう生きていくのかな、っていう意味かなあって思いました

それこそ何の宣伝もしない今作でも、映画館が満員になるくらい、生きていく上で必要ないようで、1番大事な栄養の話
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