観客が見たいものを見せるのでも、監督が見せたいものを見せるのでもなく、最初から最後まで監督が見たいものを見せるというところが、とても贅沢であり、何より幸せな映画体験だった。そして、自分がジブリで最も好きなキャラクターは「千と千尋」のオオトリ様なので、そういう意味でも鳥キャラをたっぷり堪能できて嬉しかった!
陸・海・空の様々な世界を舞台に活劇が繰り広げられるという点では、宮崎駿監督作品の集大成とも言えるけど、同じく集大成的な映画でも“観客が見たいもの”にこだわって作られた「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」と対照的なのも面白かった。
もちろん、どちらが優れているという話などではなく、単純に宮崎駿監督の映画の作り方そのものが、いまの時代にはとてもユニークで貴重なものだと思う。だからこそ、同時代に映画館で観ることに大きな意味がある作品なので、無事に公開できて本当に良かった。