のこ

君たちはどう生きるかののこのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

想像してたんとちゃうかったー!もっとなんちゅうか説教くさいのを想像してた。
エンドロールが終わると、右隣の女性が開口一番「意味わからん!」と言った。上映中ずっと持込禁止のペットボトル飲料とえびせんらしき袋菓子をガサゴソやってたおばさんに同意するのは少し癪に触りつつ、まぁたしかにと思った。でも不思議と嫌じゃない、この意味のわからなさ。

食べもののリアリティを追求するジブリらしさ、相変わらずごはんが美味しそう。人も風景も動物も水も光も闇も全てが美しい。安心できる素朴さと美しさの調和した映像、それだけで心躍る。

ワラワラ。ワラワラが画面に映った瞬間に劇場から明るい声があがった。張り詰めた静けさの中に現れた癒し。彼ら(それとも彼女ら?そもそも性別はあるのかな、自分はないと思った。)が地上へ上がっていくときの邪念のない姿、仲間に手を伸ばす仕草。ああ、僕のお母さんもあの中にいるのだろうか、居てほしい、苦しみから解放されてあんなに無邪気になかまと笑っていてほしい、そして新しい命に生まれ変わるんだと思うと瞳が潤んだ。あの世界ならそれが叶うのかな、なんて思っていたらペリカンがやってきて彼らを食った。なんて仕打ちだ。

おじさまは頭が良いだけに傷つけ合うこの世界に耐えきれなかったのかな。
あの積み木を重ねれば、争いのない平和な世界が出来上がるのなら自分はどうするかな。
最後、彼らは崩壊とともに元いた世界へ戻ったけど、あのままあの世界で愛する人と居られるなら自分は?自分を産んだ母と離れずにすむなら?
宮崎駿の伝えんとすることをうすうす理解しつつも、目を逸らしたくなる己の弱さ。
のこ

のこ