ヌゥ太エガワ

君たちはどう生きるかのヌゥ太エガワのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

かつて「神隠し」で千が千尋に戻った時、千としてのふるまいを覚えていないように見えた。そのことについて藤本タツキはインタビューで、「忘れてない、思い出せないだけで」と言ってたような気がする。

今作は優しかった。眞人には母親への憧憬を異世界での経験とともに噛み締める時間が残されていた。眞人がいずれ「思い出せなく」なるかどうかは定かでない。でもきっとそうするしかなかったんだと思う。

グロテスクな青鷺、生理的な部分に触ってウッとなるような食事、眞人とすれ違う父親がスーツのままで刀と(眞人とナツコのための)チョコを懐に突っ込む描写などなど、丁寧すぎるくらい丁寧な細部の描写は「コレぞジブリ」とジブリ素人の自分でも思うほど、理屈を超えた説得力があった。

細かいことは僕にはわからないけど、巨匠とされた者の晩年の形としては、あまりにも正直だったんじゃないだろうか。