南森まち

君たちはどう生きるかの南森まちのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.0
戦時中。母を失った主人公の少年は父と、その後妻とともに田舎へ疎開するのだが不思議な体験に出会う…というお話。

…「星を追う子ども」とそっくりなんですよね。
黄泉平坂を題材にしたところ(「後ろを見るな」のタブー)、何をやっているのかさっぱり説明不足なところ、そして、タイトルと内容が1mmも一致していないところ…。 
そして序盤の展開はほとんど関係なく、異世界に迷い込むのは「千と千尋の神隠し」ともそっくり。

そもそも私は千と千尋の神隠しは、あまり好きではない。映像は好きだが、ストーリーは起承転結がなく論理的でもないからだ。自分の意志なく流されるまま、がんばっていたらみんなに認められてうまくいきました…という主体性の薄いお話だ。
それでも、アジアンな雰囲気を映像でふんだんに見せた「千と千尋」は映像表現として、まだ見られるものになっていた。
しかし本作はイマジネーションに乏しい。背景もラピュタのような「石畳に根が張っている」場所だらけでごまかしていて、80-90年代の同監督作品を焼き直したようなものばかりで目新しさはない。

何よりも主人公の描写が圧倒的に足りず、ほぼ初対面の人を命がけで助けに行く動機が最後まで不明。
まぁ何なら何まで、すべてにおいて説明不足だった。ファンブックか何かをあとから出すので、それを見て勝手に考察して欲しいのかもしれないが、それほど深い話ではなかった。

ま、映像はきれいということで…。