綺麗なジャイアン

君たちはどう生きるかの綺麗なジャイアンのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.7
宮崎駿が「自分でも何がしたかったか分からない」って言ってたから観るつもりなかったけど友人達に感想聞きたいから観てきてと言われて急遽観てきた。

観る前の私の感想の予想は
「君たちはどう生きるか、というより
駿はどうしたかったん?」と思ってたけど

何度もぶわっと泣きそうになり、
エンドロールで号泣。
帰り道では車の中で嗚咽するほど泣いた。

全部観てないのに批判はしたくない
が私のポリシーやったのに…
駿、私が間違えてた。よかったです。



そもそも私にとってのジブリって
「田舎行きたーい」の感覚に近かった。
田舎行って心浄化されたい、疲れを取りたい、癒されたい、初心にかえりたい。
そう思った時に気が付いたら
「なんかジブリ観たい気分」って言ってた。


だから観終わった時、私は
考察なんて一切見たくないと思った。
今の自分の気持ちだけで充分。


懐かしい匂い、景色、
自分だけにしかわからんものを
他人に語られたくないのと同じで
この気持ちは自分だけが分かればいいと思った映画やった。

宮崎駿が何を伝えたかったかとか
あれにはどんな意味があるのか
とか全部どうでもよかった。


千と千尋の神隠しで
「この後、ハクは湯婆婆に八つ裂きにされる」、
トトロで「ほんまは二人とも死んでるからよく見たら影がない」
そんな話がよく流れてきた。

それがほんまだろうがなんだろうが
自分にとっては大切な作品。
ああジブリってこうやった、
ジブリってそうやった。
感性で観るものやった。
意味なんて後からついてくる。



私は小さい頃から悲観的に捉える癖があった。
親も自分もいつか死ぬ、
悲しい思いするなら楽しい思い出もいらない。

それこそ、主題歌歌ってる米津玄師のアイネクライネの歌詞にもある
「あたしあなたに会えて本当に嬉しいのに
当たり前のようにそれら全てが悲しいんだ
今痛いくらい幸せな思い出が
いつか来るお別れを育てて歩く」

っていう考え方ばかりしてきた人生やった。


でもこの作品を観て
自分の親の幼少期時代に会えた感覚になった。

「これから先、私が大人になって痛くて辛くて苦しい思いしながら死んだって全然かまわないよ。だから何も心配しなくていいよ。」

って言われたようで気持ちが楽になった。

可哀想と思って
ありもしやん不安を抱えることが
一番自分にも自分を大切に想ってくれる人にも可哀想なことしてたんやと思った。


死ぬのは怖い、
自分の親には怖い思いをしてほしくない。

でも死ぬってわかってても
また出会うために
笑顔で人生の扉を開けて走っていく、
自分の親もそうする気がして
涙が止まらんかった。


子供を産むという幸せは
私が想像する恐怖なんかには
絶対負けやんくらい
強い覚悟のうえのものやった。

作中でも言われてたように
「あの人は強い」、親って強いんやな。



産んでまた出会うためなら
たとえ業火の中も恐れやん、

そんな覚悟を持った母親から
生まれた私たちはこれからどう生きるのか。


駿にありがとうって言いたい。
今まで不幸なものに引っ張られてきた自分やったけど救われた気がした。


人はいつか死ぬ、
だからって悲しい生き物なんか。
最後は惨い死に方したら
可哀想な人生なんか。

そんなことない、
誰もが童話のような夢を見て
無邪気に走り回ってた時代がある。


そう思ったら元気出た。

忘れたら思い出せばいい、
その為にいつもジブリがあった。


「また出会う夢を見る いつまでも」