Keitan

君たちはどう生きるかのKeitanのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

20230714 067
公開初日の朝イチ上映で。作画が最高過ぎて圧倒される。7人のお婆ちゃんの歩き方がそれぞれ描き分けられてるくらい丁寧な描き込みにビックリ仰天。手描きアニメにもまだまだ伸びしろがあるのだと考えさせられる最高到達点。原画スタッフにはレジェンド級の方々が並び、それをまとめる本田師匠も流石。
お話は、個人的には展開の流れにまかせるまま画面で起きる状況を楽みながら観れたが、展開に理由を求めはじめると不満に思う人もいるかとも感じた。それは多分、主人公「眞人」が状況の巻き込まれていく展開のなか、彼自身の行動原理が感じられないからだろう。だのに、異世界に入ってからは、急に夏子さんを「母さん」と呼び出したり、大叔父の提案を断ったり、急に意志が芽生えるのに戸惑う感じもある。監督としては映像の中で描いてるつもりなのかもしれないが、すべてが丁寧に説明されている訳ではなく、むしろ本作は「見て感じろ」と言われているように思う。
これまでのジブリエンタメとは異なる、宮崎監督のアートのような作品。眞人も大叔父も自分の投影に思えるし、端々に出てくる自身の過去作のセルフオマージュにも意味があって、監督の人生の総括にも見えるし、最後に大叔父の提案を拒否する主人公は、まだ先に進もうとする巨匠の決意ともとれる。
御年82歳の挑戦作。まだまだ監督の次回作が観たくなる。
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