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君たちはどう生きるかのHのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

本を好み、理想の世界を作り出そうとして塔に籠った大伯父に、城に自身の理想を詰め込んで芸術に逃避したルートヴィヒ2世と似たものを感じた。多分全くの偶然。

【石を積む行為に関する考察】
純粋な石だけを拾い集めて積む行為は、穢れなき世界の建設を暗喩している。しかし、実際には石の塔は不安定で、想定外のインコ(=欲に忠実な人々、もしくは"悪意"を表すもの)の大量繁殖という結果に終わった。
理想主義的で独りよがりな大叔父の"穢れなき世界を作る"という夢を眞人は継承せず、悪意もある現実世界で他人と協力して生きていく(←眞人「アオサギやキリコのような友達を作ればいい」)ことを選ぶ。
(追記)大叔父の世界=創作の世界、インコ=創作を軽んじる人々だという解釈が多い様子。確かにその方がしっくりくる。


情報量が多すぎたので、その他のことはとりあえず箇条書きで。

何か意味がありそうだがよく分からなかった描写
・若き日のキリコの傷と、眞人の傷は別物だということ
・「我ヲ學ブ者ハ死ス」
・地下の世界から出ていけず、ワラワラを食べるしかないペリカン
・黒い影(おそらく死者)の中で、眞人に礼を返す者もいれば、そうでない者もいた点
・13個の石(3日に1つ積む、もし眞人が世界を継承すれば1つ石を追加することができる)

印象的だったシーン
・父親と夏子さんがキスしているシーンを眞人が見るシーンを入れることで、父親の再婚に対する複雑な気持ちを表現していたこと
・キリコさんが「(ワラワラを)お腹いっぱい食べさせてやれた」と呟くシーン
・"嘘つき"の眞人が、最後には頭の傷を自分でつけたこと、それが悪意によるものだと認めたシーン
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