rina

君たちはどう生きるかのrinaのネタバレレビュー・内容・結末

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

エンドロールが終わって、会場がぱっと明るくなった時、胸のあたりにじわぁっとした感動か、くすぐったいモヤっと感が、じんわり広がった。

分かんないけど、私の妄想を広げる最高の体験だった。

こんな世界が描けるなんて、圧倒された。
ジブリの世界の見せ方を思い出した。

印象的な音。
前半は「水」、風が強く吹くシーンでも水の動く音が印象的に。
後半は「火」、攻撃して破壊する火ではなく、暖かく守るようなあたたかみのある音で。
全体通して「ピアノ」
久石譲の世界はすごいなぁ。気持ちや風景の描写が、和音で表現されている気がして。
墓の、祠の前の、不穏なのに完全に悪じゃない何かの音ってすごい。どうやって生まれるんだ、あれは。
最後の米津玄師の曲もピアノ主軸で、世代を超えたバトンの受け渡しがあるようにも思った。
人の心も、自然も、そんなダイナミックなものじゃなくて、奥が深く繊細なものなんだってことをピアノで表現される気がした。

セリフや登場するもの全てに、示唆があるような気がした。
積み木、世界は本当に微妙なバランスで成り立っている。一見「そんな物?」と思ってしまうような、些細な物で。
隊長が「そんなもので...」と言って崩れていくシーンは印象的だった。
宮崎駿の生きる世界は、無いところからひとつずつ丁寧に積み上げる世界が続いてたんだ。でも今、それが崩れつつある。ポスト資本主義とか、多様性とか、AIとか、気候変動とか、新たな戦争とか、根底から覆るようなことが起こっている世界だから。

この映画がいまあって良かったなぁ。
戦争を知らない世代へと引き継がれていく中で、Barbenheimerの一連の出来事の中で、私たちはどう生きるか。
少なくとも悪意を積み上げちゃいけない。

笑い。声がちょっと出ちゃうような笑い。
揶揄したり蔑んだりじゃなくて、人そのものが面白いって、おちゃめだって笑いもすごく良かった。

エンドロール。
名だたるスタジオが作画で入っていた。
日本のアニメができる、すごいことを、あのシーンはあのスタジオの人が描いたのかな、と妄想が止まらない。
多くの素晴らしいクリエイターがつくったんだと。

分かんないことがいっぱいあった。
多くは語られない。
でも、その手法含めて全部で「君たちはどう生きるか」と問いかけられている気がした。

いかにインスタントでコンビニエンスなコンテンツで溢れているか、分かりやすい物語で溢れているか・私たちが求めているかをを思い知った。

世界はもっと繊細で複雑なんだと、
自由な妄想で、思いました。

すべて私の主観です。
ファクトはなにひとつない感想。
rina

rina