本好きなおじぃ

マダム・ウェブの本好きなおじぃのレビュー・感想・評価

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
3.4
凄腕を持つ救急隊員、キャシー・ウェブ。
ある交通事故現場で、救出しようとした車ごと川に落ちてしまう。
同僚のベンに命を救われるが、その直後、バイタルを測る場面が2度繰り返したように思い、ベンに尋ねると、ベンは怪訝そうな顔をする。
その次の事故現場でも、同じように繰り返したように感じ、まさかとは思うが、次の瞬間、上司の救急隊員がトラックにぶつけられてしまい亡くなってしまう。キャシーはこれを予知していた。
救えなかったことを悔やむキャシーだったが、思い立ち上司の葬式に出ようとして電車に乗ると、そこでもその場でのイメージが浮かんでくる。それは、その場に乗り合わせた3人の女の子たちが男に殺されようとするものだった。
男・エゼキエルは、3人の女の子に殺される様子を予知しており、殺される前に、そして彼女たちが能力に覚醒する前に殺そうとしていたのだ。
それに気づいたキャシーは、3人の女の子に声をかけ、いぶかしみながらもキャシーとともに逃げる。エゼキエルに襲われながらもなんとか逃げ切った彼女らが、奪ったタクシーの中でラジオで聴いたのは、キャシーがその3人の女の子を誘拐した、ということだった。自分たちしか信じられないと悟った彼女らはエゼキエルから逃げ切れるのだろうか。

エゼキエル、およびキャシーは、予知する能力を、いずれもアマゾンの奥地に生息する特殊なクモの血を分けたものとして取得している。
キャシーは初め、自らに特殊能力が芽生えたことを認識できなかったが、徐々に自らの手で未来を変える行動に出ることで、少しずつその力を認識し、活用できるようになる。
そして映画の中では、キャシーが守る3人の女の子たちが、マーベルシリーズ映画・スパイダーマンシリーズに登場する、スパイダーウーマンやスパイダーガールと思われる役として今後登場するような場面も描かれる。
バラバラに生きていた3人がキャシーを中心に集まるが、果たして一致団結してエゼキエルの脅威に立ち向かえるのか。


マーベル初の、本格ミステリー・サスペンスとして制作されたこの映画は、その後の展開、いわゆる続編も望める内容になっている。
これはアメリカの原作コミックで登場する「マダム・ウェブ」誕生の物語であり、彼女が動かす3人の女の子が、のちの事件で活躍する主人公なのだ。
マーベルがミステリー・サスペンスに挑戦したのは興味深い。
この映画の主人公、マダム・ウェブは、ほかのマーベルヒーローと違って特殊能力や力業で相手を陥れるということは無い。しかし、彼女には予知能力と教育能力、そして知性がある。状況判断を素早く行い的確に指示を出す。(上司としてこの能力をわたしも手に入れたいぐらいだ。)これら能力で3人の女の子の気持ちも信頼もつかむ。
そして、なぜキャシーがこの能力を持つに至ったか、だ。
映画の序盤でも一部明かされるが、詳細な結論は後半に存在するので期待されたい。キャシーが育ってきた環境――ほかの3人の女の子にも実は共通ないし通底していることでもあるのだが、その謎を解き明かすことで生まれる、温かな物語でもあるのだ。

登場人物としては、やはり主人公のキャシー役、ダコタ・ジョンソンがとにかく格好いい。映画「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」で主役を演じたところからスターダムを駆け上がり、この作品も出世作の一つになることは間違いない。特に、赤いコートを脱ぎ着する所作がこの作品には欠かせないし、キャシーの覚悟を感じるシーンの一つだ。
わたしは字幕で見たが、吹替では元AKB48の大島優子が担当している。ソニーピクチャーズのYouTubeで収録風景も確認できる。

総じて、このマダム・ウェブ、続編が期待されるだけにどのようにしてこの4人のチームができあがったのか。マダムウェブは、原作では怪しいサングラスの老婆である。本編自体の緩急が薄く見え物足りなさはあるものの、結論たどり着く過程から目を背けることはできないだろう!
キャシーが繰り返し(=未来予知)を行う瞬間、皆さんも一緒に体験し、我に返って「はっ・・・!」という感情を持つはずだ。一緒に没入し、最後の結末まで目を離さないでほしい!