本好きなおじぃ

変な家の本好きなおじぃのレビュー・感想・評価

変な家(2024年製作の映画)
3.2
動画配信者の「雨男」こと雨宮。最近なかなか再生回数が伸びないことが悩みだ。ふと、マネージャーが持ってきた家の間取りの不可思議さを聞き、建築士の栗原へ相談に行く。そこで話されたのは「この部屋は何のために作られたのか?」ということだった。
2階の子供部屋は窓が無く、二重扉。
そして子供部屋と風呂場を行き来できるかのように設定された1階の空間。すると、その家の周辺で左手首の無いバラバラ死体が見つかる。ネタに悩んでいた雨宮は、この間取りの謎を突き止めようと追求を続けるが、部屋で襲われてしまう。
その頃、そのバラバラ死体の妻だという宮江が現れる。いろいろと話を聞くが、該当の家に一緒に行ったときに、栗原から「宮江に妻はいない」ということが告げられ――。

ホラー要素に振り切った映画だった。
雨穴著「変な家」(飛鳥新社刊)が原作となり、そのコミカライズが一迅社HOWLコミックスより発売されているのだが、わたしはコミックを読んでおり、ただそのコミック上の演出だけでは感じることのできないホラーの演出が、怖さを増幅させる。
YouTubeで雨穴さんが語る語り口とは全く違うので、YouTubeをイメージして見るとちょっと衝撃が強すぎると思う。わたしはそうだった。

怖さは、単純な脅かしもあるが、
終盤に待ち受けている人間の怖さ、とりわけこの作品の場合は明治から続く一家にまつわる信仰を続けることでしか救いがないというような、時代錯誤な、しかし今の時代まで眠り続けていることもあり得そうな、そんな怖さに震える。
一瞬誰だかわからず、「よく見たらあの人じゃん!」という、普段の演技とはまた違う俳優たちの演技も見もの。高嶋政伸は気づかなかったし、川栄李奈も途中までわからなかった。

映画館で観る時は声を出さないように気を付けたいし、映画と原作を行き来することでまたじわじわと怖さが深まっていくことだろう。