xavier

死体の人のxavierのレビュー・感想・評価

死体の人(2022年製作の映画)
3.7
生きることは下手ですが、死んだふりは上手です…
売れない俳優の吉田広志は、演技に対するこだわりは人一倍強いものの死体役ばかりをあてがわれていた。
劇団を主宰していた頃の後輩がテレビで活躍する一方で、物言わぬ死体を演じる日々が続く中、彼はデリヘル嬢の加奈と出会う。そんなある日、広志は母が入院する事になり、病状が思わしくないという知らせを受ける。
そんな時、軽い気持ちで妊娠検査薬を試してみたところ、男性でありながら陽性反応が出てしまう…
ストーリーはこんな感じ。
タイトルが気になり、観てみたんだけど思いの外、面白かった!
話としては、広志の日常が淡々と綴られていく。
スケジュールの打ち合わせで、次の仕事は"とびおり"でってとか、どんな打ち合わせだよ!って思えるシーンや、
両親が持ってきた見合い話について写真を見ながら、父親(きたろうさんが演じている)がボソッと「愛嬌あり過ぎだろう」って言うシーンなど、所々でくすっ!って笑えるシーンがあって面白かったなぁ。
でも、やっぱ1番面白かったのは妊娠検査薬のシーン。
だって男なのに陽性が出るって。
広志の驚き方も面白かった(何故こうなったのかは、ラストで明らかに)
って感じでホッコリ進んで行くんだけ
後半にかけては感じが変わっていく…

出てくる人が"生き方ベタ"なんだよね
まぁ、特に広志と加奈なんだけどね
広志は演技にもこだわりがあって、繋がりのある演技をしたいんだけど、それを求められなくて、モヤモヤした気持ちを抱えている。そんな一方で、後輩が売れている姿を見て"自分は必要な人間なんだろうか?"とも思ったりして不安もある。
それは加奈も同じで、ヒモ同然の彼氏との間に子どもが出来、自分は産みたいけど、彼氏はそう望んでない事にジレンマが…
またそれを彼氏にぶつけられれば良いんだろけど、自分に自信の無い加奈はそういう事すら出来ない。
2人とも生きづらいよね。
そんな2人はどうなるんだろう?って思っていたら"ある事"がキッカケとなり……

そしてラスト近くのエモいシーン…
まんまあの名作のオマージュだよね
不覚にも泣いてしまったけど…

この作品で唐田えりかが復帰してるんだけど、良かったね。
なんか憑き物が落ちたって感じで。
xavier

xavier