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ヒッチハイカーKAI:手斧のヒーロー、その光と影のAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

3.6

【あらすじ】
放浪のヒッチハイカーが暴漢から女性を助け一躍人気者に。だがある殺人事件の容疑者となり彼の本性が暴かれいく…

KAIは現代版ヒッピーといった風のピースなVibesを醸し、ギター片手にラブソング歌ったりロックスター的なもありネットで拡散し一躍大人気になる。
しかし彼をテレビ出演させようとするテレビ製作者達がKAIの居場所を突き止めて彼と接触するうちに分かってくる人となりがヤバい。常にアルコール臭プンプンで、場所構わず小便するわで。
彼をテレビ出演させて一儲けしようとする奴らが度を越した彼のヤバさに困惑したという反応が生々しくて面白い。

彼の生い立ちが示されていくと、今の彼の振る舞いにも納得がいくというか、切なくなる。親から檻に閉じ込められ虐待を受けていたり、幼少の頃に中年男性にレイプされた過去も。
それ故か、幼馴染は明るいKAIが突然、暴利的になる傾向があった事も明かす。
結局、KAIは殺人容疑で逮捕される訳だが
その意味でドキュメンタリー傑作「行き止まりの世界に生まれて」と共通する貧困家庭と暴力の連鎖をリアルにキャプチャーしているとも言える。
また、後世の人が本作を観れば、現代におけるネット世界出バズるという事がどのような現象か、
またバズリに乗っかって、その時その時の流行りの人をリアリティショー番組に登場させ金儲けしようとするメディアの搾取構造も透けてみえる。
その点で意義あるドキュメンタリー作品といえるのだろう。
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