このレビューはネタバレを含みます
かなり楽しめて良かった。
序盤は家族崩壊の危機かもというところからスタートした。
ロイドは任務を交代させられそうになり、ヨルは不倫の兆候を感じ取り、アーニャは2人の心を読んで焦っていた。
アーニャの課題のためという名目はあったものの、各自の問題を解決できるかもということで旅行に行くことに決まった気がする。
一方エピローグでは、同じ家族旅行ではあるけれども、アーニャにステラを取らせなければならないという目的は薄れて純粋に楽しもうという方向に変化していて良かった。
旅行が始まって(メレメレ食べられなかったから自分たちで食材を集めようということになり)それぞれが異なる意図で旅行を遂行しようとする。
口紅をプレゼントしたり、射的したり、ヨルがお酒を飲みすぎたりと色々あった後、この各々の意図がすれ違っている状況を変えるために最初に動けたのがアーニャで、ヨルとロイドが仲直りするように2人を観覧車に誘導した。大人陣じゃなくてアーニャが最初っていうのが良い。観覧車の中でロイドは浮気なんかしてないと感じ、ヨルのロイドに対する不信感はここで完全に払拭された。
ホテルに帰った後、ロイドはアーニャにステラを取らせるために1人でお酒を手に入れようとしていた。しかも違法な手段で。これもロイドが自分の目的を優先しすぎて家族のことが疎かになるというすれ違いが表面化したものだと思う。
これを食い止めようと、ヨルはアーニャがこの旅行を楽しみにしていたことを伝え、家族で一緒にいようと進言する。
すれ違いを食い止めるために、ちゃんと言葉にして伝えられるヨルさんかっけぇ……って思ったし、人と人との関係でこういうの大事だよなって思った。
ロイドにとっては任務と家族を天秤にかける選択を迫られたわけだけど、ロイドは家族を選択する。任務が達成できるか怪しくて焦っている時に自分の最優先事項を捨ててでもヨルの進言を受け入れて家族のために選択できるロイドもかっけぇ……って思った。
ヨルもロイドもかっこよくて、このシーンはかなりお気に入り。
このやり取りを経て、ロイドは1人で突っ走ることはなくなる。
そうこうしていたら今度はアーニャが1人で突っ走って、ホテルを抜け出していた。しかも軍に捕えられてる。
ここから終盤の飛空艇に突入する。
アーニャも含め、全員がそれぞれの舞台で戦っているっていう状況が好きだった。アーニャは漏れそうになるのを必死に我慢するという、笑いもありつつ誰もが身に覚えのある等身大な問題で戦っているのが良かった。トイレの園は声出して笑ってしまった。
ヨルさんのアクションめちゃくちゃかっこよくて、相手のガトリングを床に撃たせて床を落としたり、口紅を導火線にしたり、単純な戦いじゃなかったのが良い。作画もかなり良かった。
ロイドは艦長に変装して艦長と一騎打ちしてた。敵の艦長が鼻のきくちょっと冴えたキャラで、一筋縄ではいかなかったのが良かった。取っ組み合ってる時だったか忘れたけど、「俺たちの化けの皮の厚さをなめるなよ！」みたいなセリフがかなり好きだった。化けの皮で覆われた家族ではあるけど、そこにある絆は本物だということを象徴してた気がする。
ロイドが敵の乗組員を逃がそうとするのも結構好き。
アーニャを床下から助け出して、敵も全員いなくなった後、炎上した飛空艇が街に突っ込みそうになる。
ここで、ロイドは焦って操縦は任せろ！って家族に言ってしまい、アーニャになぜ操縦できるのかを問われ、苦し紛れに「バイトでやったことがある！」って答えて、そんなわけないって雰囲気になるんだけどアーニャもヨルもたしかスルーしてて、強固になった家族の絆を感じた。最初のヨルはちょっとした行動の裏を読んで浮気かもと考えていたけど、信頼しきった今ならこの程度の明らかな嘘を吐かれてもなんともないっていう。
最後はロイドの任務交代の話は上官がうやむやにしてくれたり、アーニャのステラは校長が急遽不在で取れなくなったりと、表面的な問題は一気に解決する。
最初にも書いた通り、今度は別の場所に家族旅行に行くことになって終わる。
全体的にテンポも良く、流れも綺麗で、笑いどころも色々あって非常に楽しかった。
偽りの家族だからこそ、家族であろうと繋ぎ止めようとすることが強調されるというスパイファミリーの設定の本質を捉えた良い映画だった。
脚本が大河内さんだったので驚いた。また一つ評価が上がった。
一つ疑問があるとすれば、敵のガトリング持ったやつはなんで全身機械だったんだろう。ボンドに変な教育してたりする国？だし、人間にも何かしら変な実験をしてるってことなのかな。
他人の感想を先に読んでしまっていて、かなりそれに引っ張られながら視聴してしまったのは反省。引っ張られたツイート郡↓
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