ハシゴ

インフィニティ・プールのハシゴのレビュー・感想・評価

インフィニティ・プール(2023年製作の映画)
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デヴィッドを目指しながら、デヴィッドを目指してはならない状況に引き裂かれる息子。
私は私、属性で見ないでくれというブランドンの嗚咽が聞こえる。
アイデンティティ確立のこじれが個人主義的な方に噴出してしまっている映画だと思った。
ブルジョワ批判、滅私の共同体批判、親父を前提に俺を見るなという叫び。
しかし、デヴィッドクローネンバーグの実の子という点を抜きにしても、この土俵で戦うなら比較されないというのは無理な話だと思う。
差異を見出したいのか、親父のように真の変態でないのかは不明だけど、ブランドンのまともな感性の作る表層的な狂気感がレフン的な色使いやこれがいいんだろという性器描写、両性具有的造形に溢れてる。
それが父親という規範とから抜け出せないまともな人間の外連味とダブルスタンダードを感じる。
思考実験的なアイデアはめちゃくちゃ面白いから全体で退屈はしないのだけれど、突き詰める方向が思春期みたいなアイデンティティの問題になってしまっているのが、辛かったんだろうなと思う。
ミアゴスの急手コキシーンは最も良くエロが撮れていたと思う、映画ピアニストを思い出した。
一瞬登場したアーミッシュの人たちは、一体どういうことだろう、調べてみるとデヴィッドクローネンバーグはユダヤ系の生まれとあり、父が前提として見なされることへの反逆の意図だろうか。
あとさ、シーバースすぎるよ!
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