誘拐された少女を追って、ロシア・ウクライナ・イギリス、そしてタイへ。
人身売買で行方知れずの少女を捜索する捜査官、執念の12年間。
国境の壁や、人身売買組織による妨害、毎回あと一歩が届かない捜査にもどかしさを感じつつ、国際的に行われている人身売買の闇に衝撃を受けっぱなしだった。
特に幼女の頃に誘拐され、物事を判断することよりも先に、男を喜ばざることを教え込まれた少女たちの成長した姿はあまりに歪としか言いようがなく、10歳前後とは思えない言葉遣いも相まって言葉が出なかった。
そんな彼女たちを性の対象としている男たち、そういった少女を提供する者たち、まさに身の毛もよだつ様な邪悪をみている気分だった。
そして、長年幼女たちの人身売買事件を追い続けた主人公の心が疲弊し、ミイラ取りがミイラになる直前まで壊れていく様子にも考えさせられるものがあった。
長きに渡って一人の少女の行方を追いかけ続ける捜査官の行動と、成長した少女がある日、自分の置かれている現実に気づく瞬間、最後までどう物語が決着するか分からない展開でとても惹き込まれる作品だった。
