あまのうずめ

丘の上の本屋さんのあまのうずめのレビュー・感想・評価

丘の上の本屋さん(2021年製作の映画)
3.0
リベロはイタリアの田舎町で古本屋を営んでいる。古本屋にある日ブルキナファソから来て6年以上になる移民の少年エシエンがやって来る。本を買うお金が無いがマンガが好きだと言うエシエンにリベロは「ミッキー・マウス」を貸し与える。読み終えたエシエンは本を携えて古本屋に現れる。


▶︎ユニセフとイタリアの製作でハートウォーミングなストーリー。まずロケーションが良い。石造りの本屋や石畳がのどかな町の風景に馴染み、ゆったりとした時間が流れる様子を醸している。町の歴史と本の歴史がリングする様であった。

「ミッキー・マウス」「ピノッキオ」etcと本を選び感想を聞き学びを与えるリベロに、幼い時に通った図書館の司書のおばちゃんが重なった。

ポジャンがゴミ箱から漁った日記をリベロがオルゴールをBGMに読む様子に、多分彼はほぼ全ての本を読了し、日記が新たな文章との出会いと想像するとリベロの懐の広さや造詣の深さが感じ取られた。

古本屋に集まる隣のカフェのニコラ、家政婦のキアラら含め、こういうコミュニティが無くなっていることや本を二度読む大切さを痛感した。

ラストの本が如何にもユニセフだなと思ったが、エシエンの設定上それありきの結末なので仕方ない。膨大な蔵書に囲まれ育った本好きなマッシミ監督らしい作品。