社会のダストダス

ベイビーわるきゅーれ 2ベイビーの社会のダストダスのネタバレレビュー・内容・結末

4.7

このレビューはネタバレを含みます

殺し屋の映画だけど、今回も実家のような安心感。まひろさんのFilmarksアカウント特定してフォローしにいきたいです。ちさとさんと商店街のおじさんがよく言ってた「ビジュ爆発」は表現として分かり易いけど、まひろさんが使ってた「メゾンマルジェラ(だったっけ)」の意味が全然分かんねえ。

前作『ベイビー・わるきゅーれ』は劇場では観てないし、レビューにも残してなかったけど鑑賞済み。Filmarksの高いスコアアベレージ同様、私もとても面白かったし、その後に阪元監督作品は『黄龍の村』、『最強殺し屋伝説 国岡』と観ていっている。去年劇場で観た『グリーン・バレット』もかなり面白かったので、自ずと期待とハードルが上がっていくというもの。

通常営業の変わらない良さと同時に、思ったより前作と比べて跳ねなかったなと感じる部分もあり、あとから考えると贅沢な要望を色々と加えたくなる続編だった。ドラマ面では今作、アクション面では前作のほうが好きだったかなという印象。というかもはや、アクションしなくても部屋で生産性のない会話を2時間している映画でも良かったんじゃないかとすら思っている。アクションパートは銀行強盗を虐めるシーンがハイライトだったかもしれない。

何となくあらすじで察してはいたけど、本作の評価を分けるのは敵役であるアマチュア殺し屋コンビの存在か。前作はヤクザ組織との対立で集団戦のクライマックスだったので、三下感の漂うキャラクターは魅力的だけど、敵としては格落ち感が否めなかった。相手側の世知辛い事情も赤裸々に語られ、涙を誘うものの、どうせラストにスパッと殺されて終わるんだろうという思いから、過度に感情移入をすることが躊躇われたのも一因か。

部屋のシーンでPCから聞こえてくる『花束みたいな恋をした』の音声が菅田将暉と有村架純の声に全然聞こえなかったけど、権利の関係とかで別人が吹き替えているのかな。まひろさんの「じゃあ結婚しようよ!」が今までで一番声張っててちょっとビックリした。『花束~』や『溺れるナイフ』の菅田将暉についてやたら食い気味に語ってくるバイト先の商店街のおっさんは今回のモブキャラで一番謎だった。なおアクションシーンはバイト中の着ぐるみでの喧嘩が一番ビジュ爆発してた。

ちさとさんが賭け将棋の中になけなしのバイト代を持って、立ててはいけないフラグを立てながら『クイーンズ・ギャンビット』のラストシーンみたいな感じで颯爽と入ってくところが凄く好き。映画冒頭でカイジの麻雀に触れていたので、このシーンちさとさんは果たして将棋のルールを理解していたのかすらも定かでは無かったけど、やたらとツワモノ感だけは出してくるのが面白かった。

ちさとさんを演じている高石あかりさんは『ベイビー・わるきゅーれ』の2作品でしかまだ観たことないけど、多分コミュ障なまひろさん役の伊澤彩織さんは長台詞にはあまり慣れていなくて、それを明るいけどだらしない、高石さん演じるちさとさんが引っ張っていくというある種のプロレスのような関係が成立していた。高石さんが緩い日常パートを情緒不安定にかき乱しながら、伊澤さんがアクションスタントで締めるという映画の流れが2作目にして確立されたように思う。

何だかんだ観終わった後は、良い映画を観たな、可愛い映画を観たな、アホな映画を観たなという満足感が高かったので、3が出たら絶対観に行きたいです。総合的には前作以上に好き。