このレビューはネタバレを含みます
執念。妄執。固執。
そういったものは遺伝子に刻まれているかのように時空を超える。
「岸辺露伴は動かない」のエピソードを振り返ってみると、全て何かしらに対する固執を描いていた。そもそも岸辺露伴が固執を体現したような人間だ。
「後悔」もある種の妄執だ。こだわって忘れられなくなる。
今作はとにかく感情的というか、論理性を飛び越えたところが主軸になっていると思う。だから、辻褄を合わせようとすると破綻する。なので、読後感はかなり疲れた。
そしてドラマが濃厚。見応えがすごい。そりゃ疲れるわ。
特筆すべきは木村文乃氏。たまらん。たまらんのですわ。あの「床ぽん」で何かを抉られた紳士諸君、同志だ。
そしてやっぱり高橋一生氏は凄いね。全体の出来にしっかりと厚みを与えるような演技。説得力ある。
ホラー要素も絶妙に織り混ぜられ、作品の雰囲気を損なわない怖さ。いいよね、そうゆうバランス感覚。
とはいえ、最後に描かれた過去の「狂気」はもっと強烈にやっちゃっても良かったような。あんな呪いを残すんだから。いや、充分かな。この辺が微妙。