hua

87分の1の人生のhuaのネタバレレビュー・内容・結末

87分の1の人生(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

幸せの絶頂にいても、気の緩みなのか慢心なのか、ほんの一瞬でどん底に転落することは誰にでもあり得ることで、そこからどう這い上がり立ち直るのか。
自分だけでなく、不幸にしてしまった人たちとどう向き合うのか。
後悔と絶望に運命を呪いつつ、極限に苦しみながらも少しずつ自分を取り戻していく話だった。

両親を亡くした娘ライアンが事故を起こしたアリソンを責めるのも分かるし、自分が死ねばよかったと、それでも救われた命を全うし生きなくてはならないアリソンの苦しみも理解できる。
現実から目を背けるために薬に走るのも、最悪の選択と分かっていても、人間の弱さとはそういうものだとも思う。
終始どうにもならないやるせなさが重くのしかかる。

皆誰かのせいにして、誰かを責めることで楽になりたいと思ったのかもしれない。
大切な家族を失う原因を作った者を赦すことなど普通に考えたら断じて出来ないことだ。

それでも憎しみに屈せず、手を差し伸べるダニエル(モーガン・フリーマン)。
皆が苦しむ状況から脱するには赦すしかないのだと気付いていても、罪を認めないアリソンに過失はあったのだと伝えたダニエル。

人生逃げるべき時もあると思ってきたが、自分の罪を認め、ようやくその苦しみと向き合うことこそ、立ち直るには必要なのだと思った。

87分の1は鉄道模型の縮尺で、ダニエルはそこに理想の人生を描いている。
しかし、現実は思うようにいかないし、厳しいことがたくさん待っている。
人は何があってもやり直しのきかない今を生きるしかないのだ。


以上のようなレビュー或いは感想を書いてみたものの、正直確実によそ見をして事故を起こし、頑なに「私のせいじゃない」と言い続けるアリソンに苛々したのも事実、そんなアリソンを最初こそ反抗的だったのに、次第に態度が軟化していくライアンも、確実に葛藤はありつつ手を差し伸べるダニエルも、ラストの手紙もなんだかGood Personにもほどがある気もしたりで、現実はそう上手くはいかないだろう。
ならばそんな恵まれているのだから、しっかりしろとアリソンに言ってやりたくなった。


「Amor Fati」
ダニエルの腕にタトゥーとして刻まれている。
『運命を愛せよ
運命は選べないが、寄り添うことができる』
また
「人生は思い通りにはならないものであり運命は選べない。
でもそれを愛することはできる」という作中の言葉。

なるほど素晴らしいと心に染み渡ればめでたしめでたしだが、なんだかそうもならず…

ああ、この作品いろんな気持ちが湧いてきては自分で否定したりで、とにかくまとまらず。
このまま下書きに入れておいては次に進めないので一度投稿することに。
しかし、本作をもう一度観ることはないだろうな。
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