ワンコ

大雪海のカイナ ほしのけんじゃのワンコのレビュー・感想・評価

3.8
【今、こんな時だから、考えてみた】

TVアニメの続篇で完結編だ。
TVアニメはAmazon Primeで視聴出来ます。

TVアニメから合わせて観て、シンプルなストーリーながらリテラシーが問われる…というか、実は考えさせられるところがある作品のように感じる。

その前に余談…。

地球は、7億5千万年前から6億5千万年前くらいの間のどこかで、スノーボールアースと呼ばれる赤道付近まで氷に覆われる全球凍結の時代があったとされている。

その後、氷は解けたもののしばらくは地球は岩石と海だけの星で、地上に土が出来始めたのは、5億年前から4億5千万年前のことらしい。

まず藻らしきものが岩石の上に這うように生え、それが苔のようなものに代わり、海中の生物が適宜陸地に上がり、苔を食べ、フンをするなどの循環型生物体系が形作られ、次第に”土”らしきものが出来て、その後、シダ類をはじめとする植物が地上に増え、水陸生物の中には陸地だけで生きられるものが出てきて…といったぐあいだ。

この映画の最後の緑の場面を見て、こんなところにこの映画の世界観のヒントがあったのかななんて勝手に考えたりした。

さて、あなたは戦いますか?それとも屈しますか?

それはなんのためにですか?
自分のため。
主義主張のため。
民のため。
より良き未来のため、仮に達成できなくても。

TVアニメでは、アトランドに攻めてくる強大な敵がいて、絶体絶命だったが、生きるための水も、更に民の危機でもあったことからリリハ達には戦うという選択肢しか残っていなかった。
しかし、アメロテが途中告白するように、彼女は”建設者”の威力を前に、民の死だけは避けなくてはと考え、降伏をチョイスしていたのだ。

横暴なバルギアの提督。
平和主義のアトランド。

結果的にアメロテは、最後により良き選択をしたのだけれども、映画では、更に強大な敵を目の当たりにして、リリハもアメロテも、カイナもオリノガにも、どんな選択肢が最善か、その時々の戦術的なところも含めて、あとでお子さんや誰かと話してみたら良いと思う。

3000ものミサイルやロケットをイスラエルに撃ち込んだハマス。
しかし、ガザのパレスチナの人々は虐げられた生活を強いられた人々でもある。
イスラエルに募る反感。
諸外国の思惑。

ずっと昔から続く歴史も含めて少しずつ紐解いて、世界中の人々が短絡的な思考から抜け出して、思慮深くなれたら良いなと思う。

ただ、それはそれ。
TVアニメでは、建設者に驚き、”樹皮削り”の威力に驚愕し、映画では、”大海溝”が登りだったことや、かわいい目の巨大な”雪海馬”、そして、スカウターらしきもの、宇宙服らしきものにプッと吹き出しそうになり、いろいろ発想するもんだと感心もした。

絵はきれいだし、物語はシンプルだけれども、何かを考えるきっかけになるかもしれない。そんなアニメ作品だ。
ワンコ

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