ザ・キラーのユーキのネタバレレビュー・内容・結末

マイケル・ファスベンダー演じる、ザ・スミスを愛聴する暗殺者の話。

業務として淡々と標的を殺す様子は、リアル版ジョン・ウィック。

観客を飽きさせない緊張感ある展開と、低音の効いた音響が出色。

「綿棒のような女」としてティルダ・スウィントンが登場したのには笑った。

主人公の独白が雄弁で、内面はナルシストだけど仕事ではミスをしてしまう様子は、「ザ・スミスのファンは、マッチョになれない理屈っぽい草食系」というイメージをうまく落とし込んでるのかな。

殺し屋であっても消費社会からは逃れられず、業務の為に多くのツールを使い捨てにする。
そして仕事に失敗すれば、自身が非正規雇用やフリーランスのように簡単に切り捨てられ、発注元には逆らえない。

発注元も「仕事に失敗したの⁈ じゃあいい感じにしておいて」と言うだけで、多重下請けの先で実作業者がどのような仕事をしているかまでは、想像が及ばない。

マクドナルドやWeWork、スタバやAmazonといった世界的企業が印象的に登場し、また反社会的存在である殺し屋も資本主義からは逃れられないというプロットには、『ファイト・クラブ』とのテーマ的繋がりを感じた。