高額報酬で殺しを引き受ける殺し屋の哲学、考え、ポリシーや日々のルーチーンを追っていく感じが面白かったです。“孤独な殺し屋のありふれた日常”みたいな。彼の心のつぶやき（モノローグ）とザ・スミスの楽曲が効果的に差し込まれて独特な雰囲気を醸し出しています。
とある出来事に怒った殺し屋（マイケル・ファスベンダー）が関係者一人一人を追い詰めていくシンプルだけどエンタメ度も高い作品でした。
殺し屋らしく寡黙でストイックなんだけど、心の中ではよく喋るし饒舌。同業者も震え上がるような凄腕なんだろうけど失敗するし、警察犬と目が合ってうろたえるところなど妙に人間味あって可笑しかったです。シリアスな雰囲気中心にユーモアがほどよい配分でブレンドされている感じ。
冒頭で暗殺のタイミングをじっくりと待つ静かなシーンは、監督デヴィッド・フィンチャーが敬愛するヒッチコックの『裏窓』（'54）をなぞらえているのだそう。とても印象的で好きなシーンでした。
