このレビューはネタバレを含みます
素晴らしかった。
とにかく見やすかったと思う。見やすいというのは私にとってとても大事な要素のひとつ。テーマの重さに対して激しい描写がないので身構えなくていい。コメディもはさまれ、エンタメとのバランスが素晴らしい。
とにかく丁寧な映画だと思った。
まず主人公が女性であること。女性が直面する問題を、女性自身が語ること。
男尊女卑的な女性が生きにくい社会を描きつつも、そういった考えではない男性をしっかり描いていること。女の子だからとバカにせずクリケットを教えてくれ、努力と才能を認めてくれたお兄さんたち。夢を追う彼女自身を応援してくれたムラリ兄さん。
最後、試合の盛り上がりの中で兄さんたちの仲間が告白(というかプロポーズ)を促してしまう流れはあったものの(なんか可愛らしくて笑ってしまう)、2人が恋に発展するような展開を描かなかったこと。インドに生きる女性の人生には選択肢がいくつもある、と表現されているように思った。
女性を一人の人間としてとても丁寧に描いている。
タイトルやあらすじで、勝手にスポ根映画だと思い込んでいた。私はスポーツや根性論にあまり興味を持っておらず、この作品は鑑賞を後回しにしてしまっていた。
観て思ったのは、スポーツものというより(その要素はもちろんあるが)それ以上に、貧困や差別、言語の壁…残酷な社会の中で必死に生きようとする人々の物語だった。生きることとは夢を持つことだ。
もっともっと根源的な話だった。
とても力をもらえる映画だと思う。
スタイリッシュではないかもしれないけれど、邦題とても合ってるなあ。
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監督がものすごく良いキャラクターで胸を撃ち抜かれました。
過去の挫折の影がありつつ強く…あと髪がふわふわで眼鏡がかわいくて…。