EDDIE

ナチスに仕掛けたチェスゲームのEDDIEのレビュー・感想・評価

3.7
『帰ってきたヒトラー』でヒトラーを演じたオリバー・マスッチがナチスに監禁される男を演じる。
全てを取り上げられ心の拠り所を失くした男。彼はチェスとの出合いを機に逞しさを取り戻す。しかし時間感覚を監禁で失う恐怖よ。

現実に起きていることと幻覚が錯綜する構成と見事な編集。
常に緊張感が付きまとうつくりに、観ているこちらまでおかしくなりそう。

原作者シュテファン・ツバイクが命をかけてナチスに抗議したベストセラー小説を実写映画化。
ツバイク氏は小説を書き終えてから命を絶ったといいます。

そんな彼の脳内を覗かせてもらっているような居心地の悪さが感じられます。
演じたオリバー・マスッチは見事なんですけど、拉致監禁の恐怖ったらないですね。
絶対に体験したくないです。
主人公ヨーゼフはチェスの本を心の拠り所にして、ホテルの何もない一室で狂ったようにチェスに夢中になっていきます。

ただ邦題はちょっとミスマッチな気がしましたね。
あくまで精神的に「ナチスに屈しないぞ」というメッセージが込められている作品というだけで、チェスゲームをナチスに仕掛けたわけではありません。
緊迫した『クイーンズギャンビット』みたいなチェスの試合模様が描かれるわけでもありませんし、邦題はなんだかイマイチ。

〈キャスト〉
ヨーゼフ・バルトーク(オリバー・マスッチ)
フランツ=ヨーゼフ・ベーム(アルブレヒト・シュッフ)
アンナ(ビルギット・ミニヒマイアー)

※2023年新作映画95本目
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