わかうみたろう

クイーン・オブ・ダイヤモンドのわかうみたろうのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

 カジノのシーンが段々と退屈になっていく感覚があって寝た。自分ではあの生活を続けられないと思い、夢の中で虚無を感じていた。そのカジノのシーンが後半の幸せそうな、裏に暗さもある、イパネマの娘が流れる結婚式のシーンとコネクトしていてめがくぎづけになった。手持ちでドキュメンタリーのように撮るカジノのシーンと同じ手法で撮る結婚式、物語はないけどこれだけで感情を伝えられることができるのかと驚いた。そしてラストの車道でのカットも、主人公はどこに行くのか分からない不安定さが未だに頭から離れない。主人公は結婚式の所謂幸せな空間からもはじき出され、逃げ出し、どこへ向かうのか。

 基本ワンシーンワンカットの様なシンプルさで、けどシーン替わりのショットの印象がどれもめちゃくちゃ強烈で、リズムが心地よかった。画面構図にこだわっているからこそできる芸当で、単に風景を切り取るのではなく映画的にめちゃくちゃ美しく撮ろうともしているのが面白かった。画面への美的こだわりが『ブレインウォッシュ』での分析にも繫がっていると考えるとなお面白い。傑作。