ポーチドエッグ

アンダーカレントのポーチドエッグのレビュー・感想・評価

アンダーカレント(2023年製作の映画)
4.5
人間の持つおかしみをユーモアに変える今泉マジックも冴え渡る前半。リリーフランキーの変な人感と相まり、日常を作り出すのが本当にうまいなぁと実感。

また「嘘をつくということ」で収束するラストは天才だと感じた。悟と再会する海辺のシーンは特に素晴らしい。何よりこういう時の瑛太は本当に凄い。そして2人のやり取りがあって、最後、かなえと堀。どじょうの話、あれがこの映画の全てように感じた。

役者の表情も観たいと思うシーンでロングショット。自分が見たいもの、監督が見せたいもの、そういう違いにも本作のテーマが現れていて、今泉監督が撮るべくして撮った作品なんだなと。

ピアノトリオを失い、ビルエヴァンスが再出発としてジム・ホールとアルバムを録音。この作品が2人の転機となった。
図らずも同じタイトルとビジュアルの構図。細野さんの音楽もピアノがメイン。
かなえや堀、悟の未来を暗示しているよう。

2023年 112.157作目