すみ

アンダーカレントのすみのネタバレレビュー・内容・結末

アンダーカレント(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

「人をわかるってどういうことでしょうね?」
「都合のいい嘘がみんな好きなんだ。本当のことなんて誰も知りたくないんだよ。」

優しい事実とそうではない事実があって、傷つけない嘘とそうではない嘘がある。
本当のことは、人を知るために必要で、その一方で深く人を傷つける。変えようのない事実からは人は絶対に逃れられないから。嘘も方便の言葉は本当で、でもその嘘に飲み込まれてしまうこともある。

自分の奥底に後悔と懺悔を持ちながら、ずっと生きてきたかなえ。
最後の最後で、本当のことを打ち明け分かりあおうとした堀。
他人に迎合するために嘘をつき、自分で自分がわからなくなってしまった悟。

他人のために嘘をつく、求められる言葉を言う、本心がわからなくなる.....悟の言葉は身に覚えがありすぎて、一番悟に感情移入できた。
なぜいなくなったのかの問いにこたえられなかったけど、自分でも分からなくえて、きっとダメなものはダメなんだよね。
リセット癖というか、気持ちがとてもよくわかった。
かなえと悟は上手に噛み合わなかったけど、かなえと堀はどうだろうか。最後は距離を置いて歩いていたけど、考えて悩んで打ち明けた堀の歩み寄りは愛おしいものであって欲しいし、ゆっくりお互いを分かり合える存在になったらいいなあと思った。

自分にとって大切な人であるほどに、その人を深く理解したつもりになってしまうのが人間の浅はかなところかな。
その人のすべてを知ることは絶対にできないのだから、それであれば、せめて知りたいという気持ちを持ち続けていたい。そして、その人が私に見せる一面に対して、疑いつつも信じられる人間でいたいなと、強く思った。

かなえがショートカットにしなり、気が強いのは、やっぱり無意識にさなえになろうとしていた(さなえへの償い?)なのかな?
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