このレビューはネタバレを含みます
「search/サーチ」「RUN/ラン」の編集者ウィル・メリックとニック・ジョンソンの長編監督デビュー作。
デジタルネイティブ特化型のドラマにすることで、改めて浮き彫りになる問題。
ググれば、何でもできる便利な無料サービス。
その代わり、個人情報が企業に吸い取られ、蓄積される。
どこかの誰かに悪用されても文句は言えない…。
本作の両監督は、新しいアイデアで生活に変革をもたらすスティーブ・ジョブズの道よりも、モデルチェンジで企業に利益をもたらすティム・クックの道を選ぶ。
観ている人を飽きさせないよう、無駄な時間と判断される部分を省いて、情報過多にサクサク進める。
その様子に、監督のエディター出身らしさが表れる。
今の時代に最適化されたフォーマットとはいえ、物事を深く考える余地と猶予を与えない。
(同様の傾向は「RRR」や「エブエブ」にもみられる。ただし、右記の2作品は映画館での鑑賞を前提としたジェットコースター。本作は配信向き)
私たちは、無料で何でも自由にできると思っているが、巨大企業の利益サイクルの歯車として自由が脅かされている。
行方不明の母も、母を探す娘も、それを見てハラハラする私たちも、どこかの誰かに消費されるコンテンツ。
終盤のフェイク映像と、その映像画面を閉じる行為は、それを暗に物語る。
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=qfRw7kJVtvg
アラレの法則発動:10分0秒