dendoh

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search/#サーチ2(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これがインターネット時代の安楽椅子探偵!


公開初日、夜九時すぎのレイトショー。複数スクリーンで満席御礼らしいコナンとは逆に、スカスカのスクリーンのお一人様シートでゆったり鑑賞しました(笑)

名作だった前作から監督も脚本も入れ替えなのは気になったが、実際のところ今作の監督/脚本の両名は前作で編集を務めた人物。しかも前作の監督/脚本も製作や原案として関与しているので、スタッフ構成はほぼ変わらず。普通に期待して観れる!

冒頭で母親から開放された主人公のジューンが遊び回るシーンは、高度に編集されたMAD動画のごとく、シームレスかつ目まぐるしく画面が切り替わっていく。この目まぐるしさ、実は物語終盤まで継続する。
前作は主人公の父親世代だったのが、今回はデジタルネイティブが主役らしく、ツールの使い方や使いこなしっぷりが全く比較にならない。調べものとチャットを同時並行しつつ、電話で会話するとか朝飯前。何か行き詰まった時に次の手を打つのが兎に角速い! 推理力も凄まじく、パスワードも難なく突破。それが本作のスピード感の源泉となっている。(なので鑑賞者は視覚と聴覚フル活用で情報を追う事になる)

印象に残ったツールの使い方(あるある含む)
◆Google翻訳で外国人と会話
◆異国の便利屋を使って現地リサーチ
◆決済履歴から足取りを探る
◆ライブカメラを監視カメラ代わりに利用
◆Googleマップでのファジーな検索
◆携帯が手元にない場面でAppleWatchで外部と連絡を取る(ここでハビの為にインストールしたアプリが役に経つ笑。確かWeChatだったかな)
◆何と言ってもラストの『Hey Siri』。確かに『テレビ番組のセリフでAlexaが反応した』みたいなのはあるあるネタなのだが、ちゃんとそれをストーリーとして活かしたのは白眉。

PC画面上での作劇は、前作に続いて流石としか言いようがない。マウスやキーボードの動きで感情を表現したり、主人公がウェブサービスを閲覧する中でストーリーが進行する(例えばマッチングアプリのやり取りを観てグレイスとケヴィンの馴れ初めを知るとか、アプリのアイコンの変化で感情を表すとか)とか、この映画のフォーマットをフル活用しているのだからたまらない。

母親、その恋人、その友人、父親と、あらゆる登場人物について、物語が進むに連れて『悪者→やっぱいい人→やっぱり悪者』のような評価転換イベントが目まぐるしく発生する。どんでん返しした先で更なるどんでん返し。演出表現が注目されるSearchシリーズだが、それ以前に、脚本が著しく出来が良い。

次作があったら絶対に観るよ。既にSearchシリーズのファンなので。
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