ぶみ

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search/#サーチ2(2023年製作の映画)
4.5
全画面伏線アリ。

ウィル・メリック、ニック・ジョンソン監督、脚本、ストーム・リード主演によるスリラーで、アニーシュ・チャガンティ監督『search/サーチ』の続編。
南米コロンビアの旅行中に消息を絶った母親を捜す娘の姿を描く。
前作は鑑賞済みであるとともに、吹替版を上映するスクリーンが多いところ、基本洋画は字幕版だと思っている私としては、あえて字幕版をチョイス。
主人公となる高校生ジューンをリード、失踪した母グレイスをニア・ロング、母とともに旅行に出かけた母の恋人ケヴィンをケン・レオンが演じているほか、ヨアキム・デ・アルメイダ、エイミー・ランデッカー、ダニエル・ヘニー等が登場しているとともに、前作の監督であるチャガンティはプロデューサーとしてクレジットされている。
前作が、パソコンの画面上のみで物語が展開するという、斬新な設定と見事なまでの脚本で映画界を席巻したのが記憶に新しいところ。
本作品も画面上のみで進行していくという設定自体は同様であり、その点に関しては前作のような新鮮味が薄れているため、それを上回るような演出や脚本でないと、なかなか良い仕上がりにはならないのだろうな、というのが観る前の懸念材料であったものの、そんな心配は見事に吹っ飛ぶことに。
前作が2018年製作と、たかだか5年前であるのだが、ITの世界は日進月歩。
そのため、その日々進化していくデバイスや、SNS、情報収集能力等、ITリテラシーが求められる現代において、ジューンのその高さたるや、目をみはるばかりで、iPhoneを所持していながら、LINEやブラウザしかほぼほぼ使わず、Siriなぞ使用しないような設定としている私としては、もはやついていけない。
何より、画面上のみの展開ではなく、普通に映し出すミステリとしても十分成立しているのではないかと思わせる脚本が秀逸であり、目くるめくような展開に片時も目が離せず、眠気なんてどこへやら。
また、一部前作の映像が挿入されるものの、前作との直接的な繋がりはないため、続編でありながら、本作品から観ても何の問題もないというのも、初心者には嬉しい限り。
加えて、ジューンの指示のもと、現地で手足のように働くアルメイダ演じる何でも屋のキャラクターの動きや性格が、ややもすると動きが少なくなってしまう本作品の設定に対する絶妙なアクセントとなっていたのも良かったところ。
アイデア一発的な作品の続編となると、往々にしてダメになってしまうところを、前作以上のスピード感とスリリングな展開、時代に即してアップデートされた様々な手法等により、唸らされる出来栄えとなっており、画期的だった前作ですら古臭く感じさせてしまうだけの完成度を誇る傑作。

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ぶみ

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