ぶみ

YOKOHAMAのぶみのレビュー・感想・評価

YOKOHAMA(2024年製作の映画)
1.5
一体、何が起こるのか?

中村優一、ヨリコジュン、金子智明監督による三本からなるサスペンス。
横浜を舞台として巻き起こる三つの出来事を描く。
物語は、金子智明監督、賀集利樹、鶴嶋乃愛主演『贋作』、ヨリコジュン監督、高山孟久主演『横濱の仮族』、中村優一監督、秋沢健太朗主演『死仮面』の三本で構成されており、特にそれぞれの作品に繋がりはなく、独立したものとなっている。
一本目となる『贋作』では、妻が恋人を作って家を出て行った後、家の前にいた女性と暮らすこととなる主人公を描くミステリアスな恋愛ものとなっており、そこそこ楽しめたのだが、投げっぱなしな結末に唖然としているうちに、二本目『横濱の仮族』がスタート。
その二本目の冒頭、「本作品はワンカットで撮影した云々」というテロップが入ったことから、自らそれを言うのかと興醒めし、一人でツッコミながら悪い予感しかしなかったのだが、案の定その予感は的中。
話としては不条理スリラーを描きたかったようなのだが、終始よくわからず、キャストの演技もお世辞にも上手いとは言えないもの。
そして、前述のようにワンカットを売りにしておきながら、何故かコマ送りがあったり、妙な演出が入ったりしていて全くワンカットに見えないという状況で、良く言えば前衛的、正直に言えば意味不明。
三本目となる『死仮面』は、自殺した特殊造形アーティストが他殺ではないかと疑うミステリとなっており、他二作と比較するとオーソドックスな内容なのだが、短尺であるが故にご都合主義な展開が目についた次第。
何より、三本に共通するようなテーマを感じることがなかったのはまだしも、タイトルを『YOKOHAMA』としておきながら、横浜らしさがあったのは『贋作』にほんの僅かあった程度だったのは些か残念であり、それこそが本作品の不条理だったところ。
クルマ好きの視点からすると、『贋作』で主人公が乗るクルマがジャガーXKのコンバーチブルなのだが、かなり古めのモデルであったことから、これも低予算であったが故のことかと勘繰ってしまったのは私だけか。
随所にキラリと光るような演出やカットがあるものの、三本の総合力はけっして高いとは言えなかったのが正直なところで、エクストリーム配給も納得な仕上がりであるとともに、久々に観た賀集が元気そうで何よりだったというのが観終わった後の感想で、それ以上何も出てこなかった珍作。

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