るーと

サイド バイ サイド 隣にいる人のるーとのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

不思議な世界観の中で過ごした時間だった。
日夜に静かなスクリーンで見られて良かった。明快な答えがあるもの、分かりやすいものが好まれがちな今の社会で、こういった作品は貴重かもしれない。

「美しい」の意味を美々が問うシーンで、それぞれの服とカーテンの単色が美しいなと感じて、それからピクニックまでの一連の流れはまさに「美しい」。ただただそう感じさせる。

野菜を洗って切るシーン、トンネル、未山くんの住んでいる拠点(最初は何なのかすらよく分からなかった。天気も記憶に残る映像。)、湖、高速バスでは未山と隣の席の人が1人1個持っていたが焚き火のときには莉子と美々が半分にしていたみかん、「この画」と思わせるシーンが何度もある。
無音が多いからこそいっそう際立つ、音楽による不穏感も印象的。

総じて見ると分からないことだらけで、まさに余白が沢山ある映画。あまり人には勧められないが、ああでもないこうでもないと考えたり話したりするには適しているような。

美々は、生き霊として未山についていた草鹿が見えていたし、莉子の描く未山も見えていた。
莉子が白いものしか食べなかったのはなぜか?墨汁や牛乳をこぼすのは、感情の発露で、言葉ではなく行為で示しているのか?
未山は最後、落ちたのか?引き継ぐような人もいたし、役目を終えたのか?莉子の子供に生まれ変わったという解釈もあるか?
突然、莉子との間でなされた未山の父親の話の意味するところとは?
るーと

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