ちょっと理解が追いつかない。
キューバからフロリダまで165キロを48時間以上かけて泳ぎ続ける。海には猛毒を持ったクラゲや人喰いサメが生息している。サメよけのケージは泳者に推力をもたらすので使わない。意味がわからないです。
そしてこれを行うのが競技を引退してから30年経つ60歳の女性だというのだから空いた口が塞がらないってやつだ。一種の超越者。マラソンスイミングの第一人者であったということで技術やベースとなる体は持っていたのだろうがそんな理屈では説明ができない。
さらに驚くべきなのは華麗なる復帰を果たすのではなく、何度も失敗を繰り返して5回目の挑戦にて成功させるということ。しかも簡単に一度の失敗として数えることのできない、そのどれもが24時間以上泳ぎ続け体力も気力も限界点を迎えての失敗。普通ならもう立ち上がれない。
年齢、衰えは自分への格好の言い訳になる。しかしナイアドは自分を信じて疑わず、諦めるという選択肢を匂わせもしなかった。
妄執的なまでの優越コンプレックスの持ち主で自己中心的で厄介なおばさんだけどここまで極端な人間じゃないと発揮することのできない強烈なエネルギーなんだな。そのエネルギーは他者の人生も巻き込んでしまうだもの。
彼女に引き寄せられたボニーやジョンといったチームの面々も最高のイケオジ、イケオバなんだ。振り回されまくるけど自分の意思で彼女に深く関わることを選んでる。
エンディングでジョンの享年が2013とされていた。チャレンジの成功と同じ年。おそらくこの後しばらくして亡くなったんだな。本当に最後の冒険で成功を見届けて満足して逝ったんだろうな。
