アキラナウェイ

ナイアド ~その決意は海を越える~のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.3
今日は第96回アカデミー賞発表の日。
作品賞は「オッペンハイマー」、その他長編アニメーション賞では「君たちはどう生きるか」、視覚効果賞では「ゴジラ-1.0」がそれぞれ受賞。日本作品がオスカーに輝いた事も嬉しい。

そんな中、主演女優賞と助演女優賞にノミネートされながら惜しくも受賞とはならなかったこちらの作品。いやいや、それでも素晴らしい演技を魅せてくれたアネット・ベニングとジョディ・フォスターのお二方。

64歳でフロリダ海峡を泳いで渡るという偉業を成し遂げたスイマー、ダイアナ・ナイアドの実話を映画化。

マラソンスイマーを引退して約30年が経ち60歳を迎えたダイアナ・ナイアド(アネット・ベニング)は、「水泳界のエベレスト」と呼ばれるフロリダ海峡横断という、前人未到の挑戦に乗り出すが—— 。

アネット・ベニングが、その顔の皺もその身体の弛みもそのままに、歳相応の自然体で臨んだダイアナ・ナイアド本人役。無理だと周囲にどんなに反対されようとも、真っ直ぐにその意思を曲げない。

キューバから対岸のフロリダに辿り着くまでの160km。フロリダ海峡にはサメが多く生息し、毒クラゲの危険性も潜んでいる。激しい湾流に流されれば、体力だけが無駄に奪われ、フロリダ到着は更に困難になる。

オーシャンスイムの最難関とされた、一見無謀な挑戦を親友でありコーチでもあるボニー(ジョディ・フォスター)らがナイアドをサポートする。

サメ避けのケージを使わず、サメが嫌がる高周波数の音を発する装置を使ったり、クラゲに刺されないようボディスーツやフェイスマスクを装着したり…。

何十時間も泳ぎっぱなし。
食事も排泄も睡眠も、ずっと水の中。
凪の時だけではない。
大嵐の中で泳ぐ事もある。

想像を絶する過酷さである。

絶対に成し遂げられると信じるナイアドだが、何度も失敗し、陸に上がるもその後何度でもまた挑もうとする。

どんどんと利己的になり、ボニーとの友情にも亀裂が…。

これはナイアドとボニー、そしてクルー達との絆と友情の物語。

「個人競技だとおもっていたけど、チーム競技だった」という劇中のナイアドの台詞が印象的。

感動のゴールの瞬間は、そりゃ泣ける。

夢を叶えるのに、歳を取りすぎるという事はない。その事を体現したダイアナ・ナイアド。

実際のナイアドとボニーに出会ったアネットとジョディ。その4人の写真がそれぞれ似ていて微笑ましいエンドロール。

52時間54分18秒。

ナイアドの記録である。

いや、本当に凄まじいし素晴らしい。