ヨダセアSeaYoda

モンキーマンのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

モンキーマン(2024年製作の映画)
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“猿(モンキー)”という表現は、時に人間をバカにする際にも使われる。野蛮で知性にかける、卑しい人物というような文脈で、“人間に足らない存在”といった意味合いで猿を引き合いに出す。
しかし、インド神話において猿の姿をしたハヌマーンは神であり、英雄でもある。

今作の主人公は大衆に媚びへつらう立場の弱い貧民、強者からは薄汚れた猿のような扱いを受けている。しかし、彼の中には復讐の炎が燃え、目的のためにひたすら苦難を耐えている。冒頭から言及されるハヌマーンを自身のヒーローに据え、時を待つ。

今作の舞台は現代のリアルな社会。ジャンルは泥臭くて生々しいバイオレンスアクション。しかし今作は間違いなく、大衆が縋る光のような物語=“神話”“英雄譚”だ。

こうもドラマチックに感情を振り回し、クールなアクションも満載の1作で、監督・脚本・主演を1人でこなしてしまうデヴ・パテルの才能には感嘆させられる。感情と覚悟が乗ったアクションシーンには思わず泣きそうになった。

強者に屈さず弱者の魂を燃やす、泥臭くかつクールな傑作だ。

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観た回数:1回
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ヨダセアSeaYoda

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