みむさん

マエストロ:その音楽と愛とのみむさんのレビュー・感想・評価

3.8
スティーブン・スピルバーグとマーティン・スコセッシがプロデュースするブラッドリー・クーパー監督主演作。贅沢な映画。
ブラッドリーの娘レアのスクリーンデビューなのでリアル父娘共演(レナードとフェリシアの娘ジェイミーの幼少期を演じてた)

レナード・バーンスタインの音楽キャリアよりも夫婦と家族の愛を描いたもの。
壮大な建物に響き渡るオーケストラ演奏シーンはやはり劇場で体験する価値が大いにあったが、バーンスタインの公私の二面性と夫婦の複雑な感情が興味深い。

伝記映画の王道的な作り、業績よりも人となりを知る、良く言えば手堅い映画。
だがブラッドリーの監督としての演出はとても好み。

バーンスタインのセクシャリティは意外だったし、伝説的音楽家を常に支え鼓舞したフェリシアは一見昔ながらの女性像の慎ましい妻に見えて実は対等にありたかったように見えた。共に歩んでいるというか。
だからなのか、夫婦の関係は順風満帆とはいかず、口論あり、傷つきあり、病ありで、関係が壊れてしまいそうなポイントはいくつもあった。

それを見ると、序盤のシーン、クライマックスの演奏シーン、喪失シーンでこみあげるものがある。

決していいことばかりではなかったアーティストの夫とかつて女優を目指した妻の、良い時も悪しき時も共に歩んだ人生だった。

ブラッドリー・クーパー監督作は前作もよかったので今後も期待。