ゴン吉

ニモーナのゴン吉のレビュー・感想・評価

ニモーナ(2023年製作の映画)
4.1
平民出身の騎士と様々な生物に変身できる少女の奮闘と葛藤を描いたファンタジーアニメ。
 
クロエ・グレース・モレッツやリズ・アーメッドらが声優を務める。 

バリスター(リズ・アーメッド)は、平民出身で初の騎士となる叙任式で、何者かの策略により自分の剣から放たれたレーザーで女王の命を奪ってしまう。バリスターは逃亡するが、様々な生き物に変身できる不思議な明るい少女ニモーナ(クロエ・グレース・モレッツ)と出会い、二人で真相究明に乗り出す…

中世と未来を足して二で割ったような世界観で、モンスターの襲撃から守るために”壁”で囲まれた町が舞台。
明るくキュートな少女ニモーナがピンクのサイやゴリラ、クジラ、サメなど様々な生物に変身してワクワクです。さらには男の子やバリスターにも変身してしまいます。
こんな友人が欲しいと思う一方で、現実社会では彼女のような変わり者やマイノリティは仲間はずれにされがち。
また変身もミソで外見にとらわれることなく相手と接することの大切さを描きたかったのかもしれない。サメとだって怖いという先入観を捨てて、一緒にダンスが踊れたら素敵ですよね。
ちなみにニモーナが大暴れしたくなった時に口ずさむ音楽は”ゴジラ”のテーマ曲かな?
バリスターも平民出身ということで一部の騎士からは蔑まれた態度で接せられる。
そんな異端者や身分格差を超えた交流が繰り広げられるアニメです。
同性愛もさりげなく描かれているのが現代風です。
作品中盤までは明るく前向きな少女ニモーナが大活躍する楽しい内容ですが、本当は彼女も心に闇を抱えて苦しみながら生きており、彼女が明るく気丈に振舞うのはその裏返し。
人は表面だけで判断してはいけませんね。
後半はシリアスな展開にかわり、終盤は涙です。
本当のモンスターは人の心に住んでいるもの。
壁を作ったり他言や情報に惑わさせることなく、人を信じることの大切さ。
様々なことを教えてくれる多様性時代の素敵なアニメです。
”We Love Nimona"

2023.7 字幕:柏野文映
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