HiromiA

流転の地球 -太陽系脱出計画-のHiromiAのレビュー・感想・評価

3.4
最終的には太陽系脱出計画は始動できたけど、途中中国が国際的に(というか指令室内で他国の代表たちから)非難されるシーンなんかがあったけど、中国の検閲はこれは許したんだと思っちゃった。またSFマガジンに掲載されたときは日本語訳で20ページほどの作品のようなので実は短い。それがこれだけ長大な作品になったのには、登場人物の背景を描いたり惑星を移動させる科学的裏付けなんかを描いたりいろいろ細かいことを補足していくとこんなになっちゃうんだろうなあ。まあ地球の自転を止めた時点でどんな不具合な生じてしまうのかなかなか表現は困難なのかも。また地球規模の惑星をロケットエンジン1万基で本当に移動できるものなのか。太陽から離れるため地表はかなり寒冷化が進むのは前作で描かれているけど、そうなると酸素を供給してくれる植物を含んだ生物が地表で生存できなくなったり、そういった問題をどう解決していくのか。月の欠片が落下するだけで大災害となるのに小惑星群を避けて地球をすすめるのはもうめちゃくちゃ大変なことで避けられずに小惑星が地球と衝突したものならどんな災害が起こることやら。核兵器は月を破壊するのに全部使い切ってしまったので、太陽系を抜けた後どうやって危険を排除するのか。また太陽からのエネルギーがなくなった状態で電力やロケットエンジンの燃料などどうやって調達し維持していくんだろう。まあ目標到達まで何十世紀もかかるのでしょうから、違う形態の文化・文明が構築されていくのかな。発想は面白いしそれを映像化する中国映画界もすごいけど、SFとしてはちょっと底が浅かった。もっとしっかりした裏打ちの説明が欲しかったなあ。
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