おそらくオッペンハイマーが開発しなくても核の連鎖反応理論がいずれ実証され原子爆弾が開発されたのだろうけど、第二次大戦中に開発が成功し実戦で使われたことが問題なんでしょうね。核爆弾の威力は実験ではある程度把握できますが、実戦で使われたことで尋常でない威力があることが目の当たりにできた。だからこそ抑止力として働いているのかもしれない。そういう意味でのオッペンハイマーの功罪なのでしょう。兵器に流用できる科学技術ではなく、兵器開発を目的にした科学技術研究というのに科学者たちは望んで参加するものなんだろうかとも思うが、理論が実際に実践できることをみてみたい気持ちはわからないでもない。ただ、この映画いったい何を言いたかったんだろう。オッペンハイマーの理性と欲の揺れ動きを描きたかったのか、あるいはアメリカなどが相変わらず原爆などの核兵器を保有し開発し続けていることへの皮肉だったのだろうか。ノーラン監督はどうして「ダンケルク」や本作のような映画を作ろうとしたんだろう。ちょっと一般人とはずれた主人公たちの歪んだ劇映画だけでは伝えきれない何があったんだろう。
