ダースポール

コット、はじまりの夏のダースポールのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
5.0

ひとりの少女と初老の夫婦との、ひと夏の思い出が描かれた物語。

この世で一番好きな映画は、子どもが楽しそうにしている映画。
この世で一番嫌いな映画は、子どもが悲しそうにしている映画。

なんと、本作品では、その両方を同時に体験出来る映画でした。

で、、

すっげえ良い映画だった。
それだけを先に言いたかった。


そんで感想は以下ネタバレで。
↓↓↓





鳥の囀り、川のせせらぎ、木々と風とが奏でるハーモニー、家畜たちの鳴き声、人が草を踏みしめる音、デッキブラシの音…
音楽をほとんど使わず、こんなに耳に美しい映画って、これまでにあったか?

木漏れ日も、井戸に映るあどけない少女の顔も、お風呂の石鹸の泡も、こんなに素朴な被写体なのに、こんなに目に美しい映画って、これまでにあったか?

髪を解くブラシ、たった一枚のビスケット、チョコアイスを買うためのお小遣い、新しいワンピース、普通ではなんでもない物だけど、、、
こんなに人の心の美しさを映した映画って、これまでには無かっただろ!


なんて美しい映画なのか。。


で、この映画は、まるで子どもの頃の夏休みの気分だった。
夏休みの終わりが近づくに連れ、なにか心にモヤモヤ感が増す。もう直に夏休みも終わってしまうのか、、と。

それと同じで、この夫婦と少女の何気ない日常を、ずっと見ていたかったのに、、

だけど、夏休みは終わってしまう。

そして、映画も終わってしまう。。

ずっと見ていたかったけど、終わってしまった。。。


だけどね、、

少女の心に刻まれた死ぬまで忘れ得ぬ夏の思い出と同じくらいに、、

この映画は、自分の心にも深く刻まれたよ。
死ぬまで忘れないよ。


心の底から思った。
これは、良い映画だ。