静かで優しい時間でした。
冒頭に映るのは薄雲った空にどこか寒々しく見える草木、騒がしく雑然とした暗いキッチン。
親戚の家に近づくにつれて空は明るくなり、やわらかな木漏れ日が揺れ、きちんと整理された明るいキッチンには穏やかな時間が流れており、ここに住む夫婦とその丁寧な暮らしが一目で想像できる。
言葉少なくともお互いがお互いを見つめ、少しずつ、少しずつ心を通わせる様はとても胸にくるものがあった。
優しく髪をとくブラシ。
テーブルに置かれた一枚のクッキーサンド。
コットが子供らしく生き生きと走るシーン。
あまり感情を見せなかったコットが感情に突き動かされて走るシーン。
“Daddy”
物語の続きがコットの望む未来であることを願わずにはいられない。
とても好きな作品でした。