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コット、はじまりの夏のkaoruiのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.5
家庭崩壊で親戚に預けられたコットちゃんのひと夏の物語。しかし実の父親があまりに酷い。最後の最後まで酷いのだが、このおっさんはこのまま変わらんやろなーという絶望感が序盤に示される。
預けられた先のショーン叔父さんも無口で気難しくゾッとするのだが、距離感がゆっくりと縮まっていきその過程が本作を引っ張る。

コットが郵便箱まで並木道を駆けて戻るシーンが反復されるが、これはラストの伏線になっている。

アイリン叔母さんは全身から慈愛溢れる人で、コットを指先まで慈しむように洗い、二人井戸に水を汲みにいくシーケンスで愛情深い人であることが描かれる。
井戸の場面も反復されるが、井戸の深みと夫婦の悲しい過去が重なり、コットが一人水を汲みにいくシーンではドキドキする。
ラストは分かっていても泣いてしまうのだが、こういったきめ細かい演出の積み重ねによるものだ。
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