【第72回ベルリン映画祭 パノラマ部門出品】
『湖の見知らぬ男』アラン・ギロディー監督新作。カイエ・デュ・シネマ誌ベスト10で9位に選出された。
やはり期待を裏切らない。差別や偏見といった社会問題をオフビートなコメディ演出で包んだ作品。
『湖の見知らぬ男』も基本ゲイが集まるビーチのワンシチュエーション劇だったが、本作もやはりアパルトメントから基本動かないワンシチュエーション劇。
アラブ系への偏見はシャルリー・エブド事件以降のフランスの情勢が反映されているだろう。劇中二人の人物がゲイであると言うのだが、それもいい塩梅にコメディとして消化している。
そうした背景がありながらも「なんかおかしい」コメディになっているのがアラン・ギロディーらしい。
おそらくエンジニアの仕事をしているだろう男のもとに泊まるところのないアラブ系の男が転がり込んでくる。その二人の関係性がびみょうに変化していく様を繊細に、ユーモラスに捉えている。
上手いなと思ったのはアラブ系の男が使ったパソコンの履歴を調べるところ。我々一般人が知らないレベルでコードを使いパスワードまで履歴を遡る。ここで初めてこの男が何の仕事をしているのかがセリフなしで表される。上手いね〜
最初はアラブ系の男を疎ましく思っていたアパルトメントの住民たちも最後には君を迫害するようなヤツは守ってやる!という風になっていくのがおかしい。
オチも含めてバカらしくて好き。お前のせいかよ!
アラン・ギロディー好き!新作も追います!