ゆーし

タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスターのゆーしのレビュー・感想・評価

4.5
映画としての完成度と満足度が高く、エンドロールは余韻に浸る時間として最適。

上映時間の長さにも意味があり、3時間15分から、劇中での現代線での時間とエンディングクレジットの時間を省くと、2時間40分になる。
この「2時間40分」はタイタニック号が実際に海に沈むまでにかかった時間なのだ。
つまり擬似的に映画の作品としての長さで沈没するまでの感覚を味わえると共に、監督の事件に対する、ある意味でのリスペクトが伺える。

サブスクが無い当時、映画は映画館で上映するしか基本的に方法が無かった為、上映時間の長さは配給会社からしたらデメリットでしかなかった。

短い映画であればあるほど、1日の上映回数を増やす事が出来、人が入る枠を増やせるからだ。
だが、スタジオ側からのカットの要求に対し、ギャラの返上を申し出たり、死んでも変えない、という意思を貫いた監督。
その鋼鉄の意思が作品作りに影響していて、作品の完成度、美しさとして表現されているのではないだろうか。

特に、ジャックの時計台のシーンは最高。
ラストの時計台は等身大のジャックを表す為、あえてジャケットではなく、いつもの格好。
まさに「健康な身体とスケッチブックさえあれば」だと感じた。

最後の夢の世界は、ローズが亡くなり、あの時計台で当時のジャックがずっっっっと待っていたんだろうか、と考えたらエンドロールは涙で何も見れなかった。

他にも個人的にローズの絵を書いているジャックの垂れている前髪から覗く目が、セクシーで魅了されてしまった。


キャラクター同士の魅力的な名言の数々、名シーン、何回でも観たくなる魅せられた作品だった。

シーンとしては、ダンスを楽しみ、酒を楽しみ、本当の笑顔を知ったローズと本当の笑顔を引き出したジャック。
二人がひたすら手を繋いで回転し、お互いの顔以外がブレているあの映像のロマンティックさは半端ない。
一生この二人が幸せなら良いのに、と見ているこちら側が感じるには充分すぎる笑顔だった。



3D作品としての良さでいうと、正直あまりな印象。
これは、作品の内容がとても良く、そして公開当時から3D作品として公開予定のものでは無かった為、3Dにする必要性などが作品から感じられなかったからだ。
まぁそれでも劇場の大画面でタイタニックを見れるという機会が得れたのは非常に喜ばしい事だった。
ゆーし

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