オホホホホ

パスト ライブス/再会のオホホホホのネタバレレビュー・内容・結末

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

12の頃に別れた二人の12年ごとに訪れる再会。

傑作。
後半なんども心が痛くなった。
痛くなりながらただの悲しみではない涙が出る。

とにかく見て感じるのが1番だろうと思うので、これ以上は蛇足なんだけど、

ユテオの居心地悪そうな少しだけ気まずくてはにかむ少年感が素晴らしいのです。役柄とその状況にピッタリの空気感を纏ったユテオを見てほしい。

ニューヨークでのユテオの演技は本当に素晴らしかった。あの場での彼は少しだけ異物なんだよね。時間の経過によるほんの少しのズレというか軋みというかそういうものをあの大きな体で、あの端正なお顔の端々に滲ませてた。綺麗な瞳にありありと見てとれる不安な感じ。多くを語らず会話の間、沈黙もそれを雄弁に語ってて。

初めの再会のスカイプ越しの会話。
あれも本当に上手いなと思った。
あれほど日常的に当たり前に話してるのに、二人の間には重ならない時間と距離。ちょっとしたタイムラグや繋がらない通話など、全てが物語る安易に重ならない2人の縁。

深い深い縁を感じつつも摂理からは外れてしまった二人。むしろ重ならないことが摂理だったのかもしれない。それでもなお忘れえぬ人。

人との縁は、タイミング、距離、関係性、全て上手く割り切れるものではない。心の中にそんな誰かを抱えたまま人は生きるわけで。そしてこの歳になると、そんな名状し難い思いが切なくも愛しく美しく見えるのです。
オホホホホ

オホホホホ