菩薩

パスト ライブス/再会の菩薩のレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
3.6
初恋の思い出は叶わぬからこそ美しく、人生はもしもが無いからこそもどかしい。きっと猛烈に美しいお話なのであろう事はなんとなく理解出来た、が、童貞である私にはどうしたって理解出来ないお話でもあって絶望したし、何食いたい?と問われたヘソンが「パスタ!」と返した瞬間にパスタライブスやないか!とか思ってしまった。ついでに元も子もないこと言うと、これがもしフランス映画だったらバッチバチにSEXしてぐっずぐすに揉めるんだろうなとか思った、実際ビノシュがそんな映画やってるし、そうはならなくて本当に良かった。回る回るよ時代は回るとばかりにメリーゴーランドは回る、ただ回り続けるだけで決して追いつけはしないし、度重なる横移動撮影はそんな二人の決して交わらない平行線を辿る人生を切り取る。彼にとって彼女はいつまでだって去っていく人、自分を置いて先に行ってしまう人、12年、24年と経つうちにそれは決定的な違いと差へと変化していく。あの日あの時あの場所でちゃんと会いたいを叶えていたら、確かに違う可能性はあったのかもしれないが、最後の最後、涙にくれるノラを優しく抱きしめるアーサーを見て、これで良かったのだよと本当に思った。正直二人はどうでもいい、アーサーにだけは幸せになって欲しい。変わらずにいる男と変わりゆく女との視点から言えばフェミニズムの文脈の上にもある。
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