あまりにも危うくて繊細な映画。
忘れられない恋のある全ての人へ捧ぐ…これに尽きる。
韓国にはイニョンという言葉があり、前世から今世そして来世へ紡がれる人と人との縁を意味する。
まさに運命の相手を運命の相手たらしめるのはこのイニョンらしい。
個人的には誰しも運命の相手が存在することには全面同意だが、その運命は前世や来世のLivesを跨いで及んでいるとは思っていなかった。あくまで今世は今世で完結するものだと。
ただこの映画を見て、自分の運命の相手（恋愛に限らず）とは前世でも重要な縁があったなら幸せだと思うし、来世でもまた運命の相手であれるならなんて素敵なことだろうと感じた。そうであると願いたい。
映画としての完成度も高く、冒頭で繊細であると書いたように敢えて全てを語ることを避け、表情や決断に上手に心情を投影していると感じた。無言のシーンが多いことで、観ているこちらの理解・考察も捗ると言える。
作中でもノラとヘソン、そしてアーサーの表情にこそ全てが込められていて、だからこそ表情管理は直球勝負。スクリーンから目が離せない。
ラストの1カットには、全ての「忘れられない恋」の終着点が信じられないほどリアルに描かれていて、観ている全員が納得させられると思う。あの1カットだけでももう一度見たい。
危ういストーリーと繊細な描写で大人向けのいい映画でした。
「韓国」の解像度が高い一方で、確かにアメリカで作られた映画であることも実感できる。良くも悪くもね。
